安房を想う人のブログ

遥かむかし、平将門征伐に加担した責めを追及され安房の地陽の目の里(ひのめのさと~丸山川河口付近)に逃れ来た士族と西方より東方の新天地を求め来た漁民を先祖に持つ私はこの安房の地に強い愛着を持って70余年を生きて来た。戦後20数万人居た、千葉県人口の1割近くを擁した安房の人口が、2%余りに衰退してしまった事に大きな寂しさを感じ、私の子供の頃の活力ある安房の思い出を書きこれからの安房を考える一助として頂きたい

海底ケーブル揚陸工事許可の不適切性

ある通信会社が、南房総市白子三原海岸

の砂浜を掘削して通信用の海底ケーブル

を揚陸する工事を令和3年夏に行いました

揚陸工事の概要は、

波打ち線に幅4m位の間隔で陸上から沖

に向かいシートパイルを2列打ち込みこ

の延長は50m位、このシートパイルの

内側を掘削します

深さは地表面、海底面から5m位、この

底に海底ケーブルを誘導するパイプを

埋設し、概ね水深が12mになる地点

まで延ばします(水深が12mあると

大時化の時でも海底の砂は動かないと

言われています)

そこから沖は、

海底ケーブルは誘導パイプが無いままに

海底ケーブル敷設船からのブームの誘導

、噴射ノズルの誘導で海底下数十cmの

深さに埋設されます

錨泊する船の錨への影響、漁業への影響

が懸念されない海域以遠は、海底にケー

ブルを直接這わせるだけです

自然環境への影響が出る範囲は、陸上か

ら波打ち線、更に大時化でも海底が動か

ないと言われる概ね水深12m位の地点

までの工法にあります

上記の工法ですと工事中に大量の汚泥を

流出させ、時化の都度汚泥の流出を防ぐ

事が出来ません

この汚泥が、自然環境に与える影響は

大きく、特に磯根資源の損失は多大です

平成10年代まで千倉の海岸で平目養殖

場を経営していた私は、当時の海底

ケーブル敷設工事による流出汚泥が養殖

池の中に入り込んだ事を発端として経営

不振に落ち最終的に破産の憂き目にあっ

ています

そうした中、通信会社は2期工事を申し

出ました

当時の千倉町は、通信会社に対し

「地元漁協、特に組合員の水嶋の同意

を条件とする」と申し渡しました

私は、自然環境保全と磯根資源の保護だ

けを考えれば全面反対を言えば済む事で

すが、現代の通信事情は想定出来なかっ

たにしても通信の重要性を考え、町への

固定資産税額を考慮すれば、最終同意に

導きたい思いを持って、通信会社の渉外

課長との交渉に臨みました

「こちらの条件は只一つ、在来工法では

同意出来ない、波打ち線を掘削しない

工法を研究して提示しなさい」と申しま

したところ、

「うちの会社は採用していないが、新し

い工法がある事は知っている、早速に研

究します」と言って私の前から日本法人

を飛び越してオランダ本社に報告してい

ました

その結果は、波打ち線の任意の陸側から

波打ち線の地下20m位をめがけてボー

リングし、そこで水平にして沖に進み

水深が12mより深い海底にケーブル

誘導パイプを出すと言うものでした

只この工法は、ボーリング機械のセット

に大きな経費がかかります

在来工法の3倍位の工費が必要です

故に、今回必要とするケーブルは2本

ですが、将来利用する事を考えて6本掘

りたい、そうする事によりペイします

と同意を求めましたので

私は同意しました

この新しい工法での工事は大変スムーズ

に進行し、この部分の工費が数億円かさ

んだ以外、通信会社側の工事進行上の

利益は数億円を呑み込んで余りあると

報告されていました

以上の概略記述の通り、当時の千倉町、

房州ちくら漁協の正統な判断と一人水嶋

の養殖会社~まるみ水産の犠牲と自然環

保全への情熱により成し得たボーリン

グ工法への変更は適切であったと評価さ

れました

にもかかわらず、令和3年の工事につい

て、海岸管理者の千葉県館山土木事務所

は旧来の工法でこれを許可した

工事進捗により工事を認知した私は、

館山土木事務所に対し

「何故、20年も昔に自然環境に影響

の少ない工法を研究施工させてあるに

これを踏襲させない、今からでも改善

しなさい」と注意と抗議を行いました

が、

「適切に審査して許可した」と言うばか

りで、工法に対する私の知見とはおよそ

かけ離れた低級な認識しか持ち合わせな

い館山土木事務所幹部の公務員としての

倫理観は非難する以外の何物でもありま

せん

この問題について、千葉県

水産課長に対し磯根資源保護の立場から

館山土木事務所に許可を見直すよう進言

すべしと意見しましたが、

「指示は受けない、千葉県の水産行政

は自分の信ずる手法で裁量する」

と突っぱねました

結局、工事は新しい工法を無視して終了

しました

波打ち線から12m水深域までの間で

支障が出た場合は、初回埋設時と同じ

工事をもって行いざるを得ません

又多くの汚泥の流出が有り磯根生物は

目に見えない損失を被ります

これをを事前に防ぎ得ない水産課長は

水産課長にあらず、このような言葉でし

か非難出来ない事は自然環境保全、生物

多様性県戦略の観点からも大きな不幸

です

県職員の多くがその本分達成に日々努力

してくれている中、館山土木事務所幹部

職員、水産課本課の課長のような存在は

由々しき現実です

今回、別の通信会社が南房総市瀬戸海岸

で同様工事を計画していると聞き及ぶ

ところ、誤った判断無き様各部署の公務

員倫理観の確立を望む

 

誤字等有れば随時訂正更新します